薬の量が多くありませんか?

高齢者は「高血圧」、「高脂血症」、「腰痛症」など幾つかの疾患をあわせ持っている方が少なくありません。それぞれの疾患、症状の改善目的に薬が処方されますと、服用しなければならない薬の量が増えて、6種類以上になってしまうことも少なくありません。

社会的問題になっている多剤併用:
高齢者が複数の医療機関にかかりますと、それぞれの病院から薬が処方されます。患者さんは薬を服用すると病気が治ったり、症状が常に改善すると思っている方もおられ、薬を欲しがる人もおられます。そのような患者さんは多剤併用となり、薬の副作用による有害事象が問題になってくることが少なくありません。

ポリファーマシー:
 多剤併用により、かえって健康に悪影響を及ぼしたり,害を及ぼしたりする可能性があるものを「ポリファーマシー」と言っております。「ポリファーマシー」は服用する薬剤数が単に多いだけでなく、有害事象のリスクが増加する、患者さんが薬をキチント服用できず、服薬過誤の状態につながりやすいなど、いろいろ問題が生じますので、できるだけ避ける必要があります。一律に「何種類以上がポリファーマシー」というのではありません。3種類でも有害事象が起こることもあれば、6種類以上でも害が起こらないこともあるからです。「高齢者の薬物療法ガイドライン2015」によれば、薬剤数が6種類以上で薬物有害事象が増える、5種類以上で転倒リスクが増えるといった研究報告から、5~6種以上の処方を「ポリファーマシー」としております。